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2012/10/25.Thu

「希望の国」

園子温監督の「希望の国」を観てきました。

園監督と言えば、エロでもグロでもなんでもこーい!なイメージがありましたが、
今回はそういった要素を一切排除。

監督が面と向かって向き合った、監督の「原発問題」が描かれていました。

園さんの表現が、まっすぐツボにビシバシ入ってくる体質のわたしには、
大・大・号泣映画でございました

とりあえず、終映後もかなりの時間、席は立てなかった。
いや、ホント物理的にムリでした。
鼻水と涙で顔がすごいことになりすぎて(笑)

映画館で、着ていたシャツにまで涙が染みたのは、数年ぶりじゃなかろうか・・・

微量のネタバレ含む感想は下から。

架空の県の架空の街の、架空の災害による架空の原発事故のお話です。

が、当然ながら3.11を彷彿とさせる内容となっているわけです。
(福島原発の事故は過去のものとして扱われている)

徹底して「描く対象を取材する」ことを貫く監督らしく、
「原発から半径20キロ以内に退去命令」
という言葉だけ聞いて、「大変そうだな〜」なんて思ってたわたしに、
「それはつまりはこういうことなんだよ、ちゃんと見ろバカ!」
と、リアリズムと詩的表現をないまぜにして、初っぱなからズドーンと腹の底に一発ぶち込んでくるわけです。

園さんはいつも「映画をめちゃくちゃにしたい」「映画のフォームをぶっ壊したい」っておっしゃいますが、

わたしにとっては、これ以上映画的なものはないってくらいきっちりと映画的で、
(昔観た洋画の名作を思い出すんですよ。フェリーニとか)

その中でも特に映画的である、と感じた今回の「希望の国」でした。

リアルな部分は、セリフやセットなど、外側のリアルさでなく、
大部分、演じる俳優さんたちの肉体を通して、表現されていたと思います。

震災そのものも、とてもあっさり描かれていますし、原発自体は(わたしたちが常にそうなように)テレビのニュース画面を通してしか映されません。

被災地で実際に撮ったと思われる映像も、震災からそんなに時間が経っていない設定なのに、明らかに月日を経過した様子の映像だったりもしました。

でもね、そんなディテールはこの映画にとっては重要ではない。
演じてる役者たちの、その生活、その立場に身を置き切った(としか思えない)演技が、
細かいアレコレは全部取っ払って、「原発が爆発した」その後の世界に、わたしを瞬時に連れていってしまいました。
(今現実がその世界であるという矛盾はさておき)

国から避難を勧告されても、住んでる家を決して出ないつもりの老夫婦(夏八木さんと大谷さん)
その息子(村上淳さん)は、妊娠して放射能恐怖症になった妻(神楽坂さん)を抱えて迷っている。
向いの家の息子(清水優くん)は仕事もせずに彼女(梶原ひかりちゃん=「冷たい熱帯魚」の社本の娘役の子!)と遊びほうけていて、その彼女は津波がひどかった地域で行方不明の家族を探す。

みんなみんな、起こってしまったことに普通に反応する、普通の日本人なんですよね。
でもそれが、時間と供に、特別な、難しいことのようになってしまう。
被災地とそれ以外の心理的な距離は、近いようでとても遠い。

わたしは被災していません。
日本の東側には親戚もいません。

だからやっぱりどこかで、被災地のことを「あちら側」だと思ってしまうんですね。

あの日からずっと、自分なりに「何か」をしてきたつもりでも、
やっぱり日々薄れていく。
あの衝撃や悲しみや、震災を自分のことのように思う気持ちは。

それを、園さんがもう一度力ずくで引っ張り返す。

「忘れる」とか「時が経過した」とか、そういうことではないですよ!と。

あの日起こったこと、そして今もずっと起こっていることは、
お前の生きてるこの国のことだろう、
自分自身のことだろよ!と。

まあ、感化されすぎかもしれませんが(笑)
わたしはそういう風に、この映画を受け取りました。

園さんの作品は、どんなに過激で残虐な描写やエロ表現を使っていても、
結局いちばんに描いているのは「家族」なんですね。

それも「愛」寄りの。

今回は、敢えて過激な表現方法は封印して、ストレートに「家族愛」を描いています。
もっと言えば、「家族」の最小単位である「夫婦」を描いてる。

分かりやすく感動に訴えようとはしていませんが、
その分、何か理屈じゃない、とても詩的な部分が自分のなかで引っかかったとき、
完全に涙腺が決壊してしまって、
最初に書いた大号泣状態になってしまったわけです。

(わたしの場合は、大谷さんが盆踊りに行こうと町をさまよい、ヤギや牛たちと遭遇するシーンです)

夏八木さん、大谷さんのお芝居のすばらしさは、映画やお芝居を観るのが好きな方なら、
きっと誰もが納得すると思います。

わたしの中での2012年最優秀男優賞、女優賞はお二人で決まりでもう何の後悔もない。
本当に、本当に素晴らしかったです。

その他、おなじみのでんでんさん、神楽坂さんはもちろん、伊勢谷くん、吹越満さん、田中哲司さん(セリフ一言もない)、大鶴義丹さん、松尾諭くん(顔が隠れててまったく気付かなかった)の他、深水元基くん&間宮祥太郎くんも出てました。

実はすんごい豪華キャストなんですけど、みなさんオーラ消して風景に溶け込んでるのがまたスゴイなあ、と(笑)

園さんの血だらけの過激映画は観られないって方にも、この映画なら堂々とおすすめできます。
表現もちゃんと園節の「詩」になっているので、園さんの表現の方法も楽しんでもらえると思います。

胎動の音とか、杭を打つ音とか、ドキッとしますよ。

個人的には、できるだけたくさんの人に、今、観てほしい大切な映画です。
よい映画でした。

やはり園子温は特別。

以上、映画「希望の国」の感想です。



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映画のおはなし | Comments(2)
Comment
No title
おータイムリー!
昨日の新聞で取り上げられていて、観たいな~と思っていたところでした!

テレビや新聞とかの情報から、知ったつもりになっても、
実際に被災した人にしかわからない苦しみや悲しみは、
やっぱり実際「体験」しないとわからないものなのかもしれないですね。
ただ、本当に体験するわけにはいかないですから、それを、ドラマを通して体験するのは、
被災地を置き去りにして日常に戻りつつある今、私たちには必要なことなのかもしれません。

ななこさん絶賛の夏八木さんと大谷さんのぜひ観たいな~と思いました。
Re: No title
>はに丸さん

ぜひぜひ〜。
夏八木さんを見るためだけでも、価値があると思います(推しすぎ?!w)

> テレビや新聞とかの情報から、知ったつもりになっても、
> 実際に被災した人にしかわからない苦しみや悲しみは、
> やっぱり実際「体験」しないとわからないものなのかもしれないですね。

そうなんですよね。
園監督も、まさに同じことを思って、まずは徹底的に取材して、被災した人の立場になって考えて、
ある部分からは、その取材を元に全力で想像力を働かせ、自然に結実したものを映画にする、とおっしゃってました。

原発問題に関心をお持ちのはに丸さんなら、きっと色々感じることがあると思います。

わたしも多くのことを考えるキッカケになりました。
ぜひに、ぜひに!

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